寝つきが悪い。と、目が覚める。は全くの別物?| 岡山 小顔 姿勢 美容鍼 整体

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こんにちは、カモです。

クライアントさんから「眠れない」という相談って割と多くて。

よく話を聞いてみると、

その「眠れない」にもタイプがあると感じてます。

睡眠の質は疲労にも、ダイエットにも

うんと深く繋がってくる中で、

不眠を”ただの不眠”として扱うのではなく

もう一歩踏み込んで、考えてみる。

ただの経験則だけじゃなくて、

研究での明確な区別部分を含めたお話を。


🧠「眠れない」には2種類ある

「眠れない」は、大きく分けて2パターンあって

①寝つきが悪いタイプ(入眠困難型) 

ベッドに入っても1時間以上眠れない。頭が冴えて考え事が止まらない。

②夜中に目が覚めるタイプ(中途覚醒型)

 寝つきは悪くないけど、夜中に何度も目が覚める。朝起きても疲れが取れていない。

「どっちも眠れないじゃん」って思うかもしれないけど、体の状態が真逆。


科学的根拠:HPA軸とコルチゾールの関係

この2つのタイプの違いを理解するには、

「HPA軸」っていうシステムを知る必要があります。

HPA軸は、視床下部(Hypothalamus)-下垂体(Pituitary)-副腎(Adrenal)の3つが連携して、ストレス反応をコントロールしているシステムです。

このシステムの最終産物が「コルチゾール」というホルモン。

コルチゾールには「CAR(Cortisol Awakening Response)」という特徴的な反応があります。これは起床後30-45分で50-60%上昇する現象で、1日のエネルギー準備をする重要な仕組みです¹。

参考文献1: Clow A, et al. The awakening cortisol response: methodological issues and significance. Stress. 2004;7(1):29-37.


🚶それぞれの特徴と生理学的背景

①寝つきが悪いタイプ(CAR上昇型)

症状の特徴

  • 夜になっても頭が冴えている
  • 明日のことを考えて不安になる
  • 朝は割と起きられる
  • 昼間はそれなりに元気だが、午後にガクンと疲れる

生理学的メカニズム 

このタイプは、CARが過剰に上昇し、

夜間のコルチゾールも高いままの状態です。

研究によると、こういう人は予期不安が強く、交感神経系が過活動になっています²。

また、夜間にコルチゾールが下がらないため、メラトニンの分泌が抑制され、入眠困難となります³。

参考文献2: Maruyama Y, et al. Daily life stress and the cortisol awakening response: testing the anticipation hypothesis. PLoS One. 2012;7(12):e52687.

参考文献3: Rise Science. A Sleep Doctor Explains How to Fix Your Cortisol and Sleep. 2024.


②夜中に目が覚めるタイプ(CAR低下型)

症状の特徴

  • 寝つきは普通(むしろ早い)
  • 眠りが浅く、ちょっとした音で起きる
  • 朝起きるのがめちゃくちゃつらい
  • 午前中はボーっとしている
  • 慢性的な疲労感

生理学的メカニズム 

このタイプは、CARが鈍化(blunted)している状態です。

ドイツの研究では、睡眠障害のある人の覚醒時コルチゾール値と睡眠パラメータを詳細に調査した結果、夜間覚醒回数とCAR低下に強い負の相関(r = -0.50)があることが判明しました⁴。

つまり、CAR低下→夜中にコルチゾールが逆に上昇→睡眠維持困難→朝のエネルギー不足、という悪循環が起きています。

参考文献4: Backhaus J, et al. Sleep disturbances are correlated with decreased morning awakening salivary cortisol. Psychoneuroendocrinology. 2004;29(9):1184-91.


⏳慢性疲労症候群との関連

特に②のタイプは、慢性疲労症候群(CFS)と密接な関係があります。

CFS患者では、HPA軸の機能異常として以下が報告されています⁵:

  • 血中コルチゾール値の異常
  • ACTHに対する反応性の異常
  • 日内変動の乱れ(夜間高値、午前中低値)

さらに、自律神経の観点では、

疲労感が強いほど副交感神経機能が低下し、交感神経優位になることも明らかになっています⁶。

参考文献5: 吉原一文. 疲労・倦怠感および慢性疲労症候群の病態. 心身医学. 2017;57(3):282-290.

参考文献6: 同上


💆エビデンスに基づく対処法

①寝つきが悪いタイプの対処法

夕方以降のルーティン

  • 16時以降はカフェイン禁止
  • 夜はスマホ・PCを控える(メラトニン分泌を抑制⁷)
  • ぬるめのお風呂(38-39℃)で深部体温を適切に調節

参考文献7: Harvard Health. Understanding the stress response. 2024.

避けるべきこと

  • 激しい運動(コルチゾールをさらに上昇させる)
  • 熱いお風呂(交感神経刺激)
  • 寝る前の考え事(予期不安の増大)

②夜中に目が覚めるタイプの対処法

朝のルーティン

  • 起きたら必ず朝日を浴びる(概日リズムリセット⁸)
  • 腰の腎兪のあたりを温める(副腎機能サポート)
  • 温かい飲み物で内臓から温める

参考文献8: Bowles NP, et al. The circadian system modulates the cortisol awakening response in humans. Front Neurosci. 2022;16:995452.

避けるべきこと

  • 朝の二度寝(概日リズムの乱れ)
  • 冷たい飲み物(内臓冷却でエネルギー低下)
  • 不規則な生活(HPA軸の乱れ促進)

夜勤労働者の研究から学ぶこと

最近の研究で興味深いのが、夜勤労働者の睡眠パターンです。

夜勤労働者は慢性的な概日リズム不整合により、

CARの鈍化と睡眠維持困難を同時に抱えています¹²。

これは②のタイプと酷似しており、人工光による体内時計の乱れが、

HPA軸機能異常を引き起こすメカニズムを示しています。

参考文献12: Smith JK, et al. Modified Cortisol Circadian Rhythm: The Hidden Toll of Night-Shift Work on Health. PMC. 2025.


🔖セルフチェック:あなたはどちらのタイプ?

以下の質問に答えてみてください:

Aグループ

  • ベッドに入ってから1時間以上眠れない
  • 夜、頭が冴えて考え事が止まらない
  • 朝は比較的スッキリ起きられる
  • 午後3-4時頃に急激に疲れる

Bグループ

  • 寝つきは悪くない(30分以内)
  • 夜中に2回以上目が覚める
  • 朝起きるのがとてもつらい
  • 午前中はボーっとしている

Aが多い→①寝つきが悪いタイプ Bが多い→②夜中に目が覚めるタイプ


まとめ

同じ「眠れない」でも、HPA軸とコルチゾールの反応パターンが全く違うことが、

最新の研究で明らかになっています。

  • ①寝つきが悪いタイプ: CAR上昇、夜間コルチゾール高値→鎮静化が必要
  • ②夜中に目が覚めるタイプ: CAR低下、概日リズム異常→機能回復が必要

もし今まで色々試したけど改善しなかった人は、

自分がどちらのタイプなのか一度チェックしてみてください。

逆のアプローチをしていた可能もあるかも。


不眠へのアプローチは決して1つじゃなくて。

不眠を”ただの不眠”として終わらせるのではなく、

もう1歩寄りそってその人に合ったその人のためのセッションを

提供することが大切だと思ってます。

もちろん、今日伝えたのは一般的なお話。

より細かな検査や、症状の悪化などがある場合は

専門の医療機関を訪ねてみるのも1つです。


主要参考文献一覧

  1. Clow A, et al. Stress. 2004;7(1):29-37.
  2. Maruyama Y, et al. PLoS One. 2012;7(12):e52687.
  3. Rise Science. A Sleep Doctor Explains How to Fix Your Cortisol and Sleep. 2024.
  4. Backhaus J, et al. Psychoneuroendocrinology. 2004;29(9):1184-91.
  5. 吉原一文. 心身医学. 2017;57(3):282-290.
  6. みどりの風鍼灸院. 2024.
  7. Harvard Health. Understanding the stress response. 2024.
  8. Bowles NP, et al. Front Neurosci. 2022;16:995452.
  9. Zhang Q, et al. Trials. 2019;20(1):104.
  10. Smith JK, et al. PMC. 2025.
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